今回は見下ろしマップをうろつきまわって敵を倒すガントレット型アクションシューティング『カオスエンジン』のデモ版です。
カオスエンジンシリーズ(The Chaos Engine series)とは13年ぐらい前にイギリスで大ヒットしたThe Bitmap Brothersのメジャータイトルシリーズです。初代作はある人が発明した奇妙なマシンが突然自らの製作者に逆らい、混沌を撒き散らしたので6人の戦士が立ち向かうというのがお話の2人同時プレイ可能なアクションシューティングで、2作目は対戦ものでコンピュータキャラクタに勝ちまくってついにはワールドのボスを倒すというシステムを持ったゲームになっているようです。で、このシリーズのユニークなところといったら・・・
1人プレイでもCPUが2Pキャラを操作するところです。
この先見ることになるゲームプレイのスクショでは一見、2人同時プレイでやってるようにしか見えないのですが、ちゃんと1人プレイでやってます。1人プレイでも2人同時プレイをやってるような感覚を与えるゲームといえばゲームこのカオスエンジンシリーズとスーパーファミコンの『ルインアーム』の3つぐらいしかないでしょう。その後、この類のシステムは後に急速に進化し『戦国BASARAシリーズ』や『HALOシリーズ』などに発展したというのは過言ではないでしょう。
んで、このメーカーさん、欧米ではかなり有名ですが日本ではメガドライブのゴッズとスピードボール、PC98とX68000とゲームボーイで出ていたゼノン2ぐらいしか思いつけないというかなりマイナーなメーカーさんです。
このゲーム、デモ版といっても3機種あります。まずは3機種の共通部分を紹介してから機種ごとの紹介をしましょう。
これから紹介する3機種で時に変わりは無い部分といったら面数、基本的な遊び方、アイテム、キャラクタごとのスペシャルアイテムぐらいでしょうね。ではまず、基本的な遊び方からいきます。敵を倒したり、謎を解いたりしてノードをアクティブにします。で、マップ内のノード全てをアクティブにしたら出口が開き、クリアとなります。
次に面数。面数は1で舞台は製品版の1−4に相当する場所です。
で、キャラクタは使えるキャラは6キャラ中合計3キャラ。機種によっては使えるキャラが異なるので、そこら辺に注意してください。
これがノードです。こいつを撃ってアクティブにしましょう。
アクティブになったノード。
コードネームの意味は「山賊」。なんか『Prey』のトミーと『まんゆうき』という漫画に登場する萬々様を足して2で割ったような顔をしています(笑)。PCデモ版とアミガデモ版では1Pキャラとして使えます。標準的な能力を持ったバランスタイプのようです。世界を救世主の1人のコードネームが
「山賊」という部分に関しては正義の味方が悪を倒すという物語に浸かった日本人にとっては疑わざるを得ないかもしれないでしょう。
で、そんな彼のスペシャルアイテムは8方向ショット。向ける方向全部にショット一発を発射するというものです。敵に囲まれたときには超便利だが、現在自分がいる高さに依存するため場合によっては全部からぶって無意味になることもあります。
コードネームの意味は「紳士」。プロゴルファーサルを劇画調にして更に渋くした感じです。私はこのキャラがもっとも好きです。このキャラは3キャラの中で3機種全部で使える皆勤賞キャラクターであります。ただ、PCデモ版とアミガデモ版では必ず2Pキャラになりますので、彼を1Pキャラとして使うにはアタリSTデモ版をやるしかありません。彼自身はついてですが、攻撃力はいまいちで足の速さは速いというスピードタイプのようです。
で、そんな彼のスペシャルアイテムはマップ表示。灰色の点がプレイヤーで金色の点がノード、ゲートのようなアイコンがゴールだ。このわかりやすいマップは道に迷いやすい人にとっては便利。だからといって無駄遣いしてスペシャルのストックをあまり0にしないように。
コードネームの意味は「土工」。渋くてキュートなオヤジキャラです。見た目的には日本人の好みとはかなりかけ離れているかも。このキャラはアタリSTデモ版でしか使えません。しかし、1Pキャラとして使うか2Pキャラとして相手に使わせるかはプレイヤーの自由です。彼自身は足は遅いが攻撃力ならおまかせなパワータイプのようです。
で、そんな彼のスペシャルアイテムはダイナマイト。投げてしばらく経った後、画面内の敵を一気に消すという東亜プランシューティングのボムみたいで非常に爽快感のあるスペシャルです。ただし、ノードとジェネレータ(敵発生源)は破壊できないので注意。また、着地点に敵がいると消えてしまうので使いどころにも注意しよう。
まず、一番先に挙げるといったらなんと言ってもPC版でしょう。PC/AT互換機という今ではもっともスタンダードなプラットフォームに対応しているのだから手軽でやりやすいことこの上なし。ただし、DOS時代のゲームなので2000またはXPの人はDOSBox入れといた方が良いかも。
先ほどのキャラクター紹介で述べたかもしれませんが、PCデモ版では1PキャラがBrigand、2PキャラがGentlemanになってます。キャラクタ選択画面は省略されます。
デフォルト設定では1Pはジョイスティック操作になってます。ジョイスティック操作といっても2ボタンのものを前提にしているのでジョイスティックのボタンに加えてキーボード操作もあるので注意。なお、この部分はjoy to keyでカバーすることができます。
PCデモ版操作方法(デフォルト)
ジョイスティック 方向ボタン:1P移動。
ジョイスティック ボタン1:1Pショット。押しっぱなしで連射。
ジョイスティック ボタン2:1Pショット。押しっぱなしでスペシャル使用。ストックがなければ連射。
方向キーとテンキーの2468:2P移動。
Qキー:2Pショット。押しっぱなしで連射。
Wキー:2Pショット。押しっぱなしでスペシャル使用。ストックがなければ連射。
スペースキー(2人プレイでは不可):スペシャル交換。
デフォルトではキーボードだけではメニューのカーソルを動かすことが出来ません。ジョイスティック必須です。どうしてもキーボードでやりたい人はセットアップのConfigureのControlでKeyboard and Joystickを選んだ後、好きな風にキーを設定します。これだけでOKです。
サウンドはなかなかグッド。声や効果音などはADPCMなのでリアル感はありますが、BGMがDOSゲーらしくDOSマシン独自の音源を使用しています。そのため、人によっては多少難を示する場合もあります。BGMに限ったことだけどね。なお、セットアップのConfigureのMusicでRolandを設定するとMidi音源でBGMを楽しむことが出来ます。
グラフィックは3機種中最高。他2機種と比べて全体的に鮮やかな色が使われています。VGAというグラフィック規格のおかげでPC/AT互換機はアミガをもしのぐグラフィック能力を得ることが出来たのです。ただし、これは320x200モードでの話で640x400だと16色しか使えないのでまだ完全勝利とはいえません。
序盤の難関。砲台の激しい攻撃を潜り抜けろ!
終盤でブロックに隠された鍵を取ったらプロテインで元気回復。
お次はアタリSTデモ版。PC/AT互換機とアミガよりはなじみの薄いマシンですが、古い時代のマシンにしては標準でMIDIポートを搭載した優れものだったらしいです。
アタリSTデモ版&アミガデモ版操作方法
ジョイスティック ポート2方向ボタン:1P移動。
ジョイスティック ポート2ボタン1:1Pショット。押しっぱなしでスペシャル使用。
ジョイスティック ポート1方向ボタン:2P移動。
ジョイスティック ポート1ボタン1:2Pショット。押しっぱなしでスペシャル使用。
スペースキー(2人プレイでは不可):スペシャル交換。
エミュレータ側のジョイスティック設定は必須です。設定し損ねるとキーボードプレイは出来ないので要注意。また、ゲーム側でボタン配置の変更は出来ませんが、エミュレータ側でボタン配置の変更は出来ます。
サウンドは全部PSG。MIDIポート搭載という点では優れているアタリSTですが、内臓音源はなんとPSGです。しかも、ゲーム中のBGMは一切カットと来た。これはこれで味がありますが、人によっては多少難を示する場合もあります。
グラフィックは全体的に暗めの色を使っています。しかし、大した差ではないのでこれぐらいで難を示す人はいないでしょう。
キャラクター選択画面。GentlemanとNavvieしか選べません。
他2機種と違ってスタート地点はここ。いきなりこんな幸せな状況になって良いのか?
隠された鍵を見つけてショートカット!
火炎瓶を取って円形火炎放射!
スクショの代替テキストのネタ、知ってる?
最後はアミガデモ版。アミガ自体はウゴウゴルーガで一時話題になったマシンですが、それでもあまり日本には広まらなかったみたいです。古い時代にあるマシンの中ではグラフィックとクオリティの高いサウンドの面がかなり優秀です。エロゲ開発には最適とも思われるそのスペックのおかげで美しいグラフィックと音楽を搭載したゲームやデモがいくつか生み出されました。この機種のデモ版は他2機種のデモ版とはゲーム進行関係がちょっと違う。おそらく、3機種中一番古いデモ版でしょう。
WinUAEでは2人プレイ時のジョイスティック設定のタイミングは大事です。TWO PLAYERSを選ぶ前にポート1の設定を変えるとポート2の操作が利かなくなるので選んだ後で設定を変えましょう。
サウンドはコンポーザー独自のRichardJoseph形式を使用。SEに関してはPCデモ版と同等ですが、BGMに関しては音色のクオリティがそっちより凄いです。CDの音楽とはあまり大差が無いくらいです。とはいえ、今の音楽に比べたら見劣りしますがね。
グラフィックの点はアタリSTより微妙に上。しかし、ゲームプレイの点では多機種2つより荒削りな面があるので多少苦戦するでしょう。
星を取ればショットパワーとスピードが一気にMAXに。
ただし、時間制限あり(約5秒間)。
中間ポイントアイテムで一度死んだ仲間は復活!
リザルト画面。
というわけでカオスエンジンのデモ版をざっと紹介しました。一見、難易度高くてつまらなそうなゲームにしか見えませんが、全1ステージにもかかわらず内容は意外にも濃く、このアイテムを取ったら敵が出現するなど仕掛けもそれなりに設置されているという、かなり作りこまれたステージになっている。難易度はこのレビューを読んだ君の予想通り高めですが、だからといってバランスが悪いわけではありません。最初は敵が立ち止まって石を投げてくる動作に戸惑いやすく死に安いのですが、仕掛けの内容と敵の配置パターンを知れば誰でもクリアは可能。バランスも意外と秀逸な出来になっています。
なお、デモ版が出てからしばらくした後、カオスエンジンはPCとアタリSTとアミガだけでなく、メガドライブやスーパーファミコンにもリリースされます。mobygamesのスクショ集によれば、メガドライブ版とスーファミ版はPC版の表示インタフェースを受け継いでいるようです。しかし、メガドライブやスーパーファミコンといってもそれは欧米だけの話。日本には出ませんでした。
渋くて個性あふれる萌えるオヤジキャラ達、作りこまれたステージ、時代を考えれば実にクオリティの高いBGM・・・この3つこそ、このデモ版の最大の魅力である。
THE CHAOS REGIME
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