今回は久しぶりに和ゲー(初の和ゲーレビューはグラディウスV。)を取り上る。今回は今でもかなりの人気を誇る漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の中でもっとも有名なエピソードである第3部「スターダストクルセイダーズ」をRPG化したスーファミのゲームを取り上げる。ジョジョの奇妙な冒険のゲームといえばカプコンによる第3部の格闘ゲーム、第5部のアクションアドベンチャーゲーム、バンダイによる第1部のアクションアドベンチャーが有名だが、この第3部のRPGもかなりの有名さを誇っている。別の意味で。
このRPGの目的は原作通りスタンドによって苦しめられたホリィを救うためにDIOを倒しにいくというもの。まず、本番に入る前にタイトル画面でしばらく待ってみよう。ジョセフとアヴドゥルが承太郎を牢屋から出すシーンが始まった。このRPGはほとんど原作を無視しているといわれているが、このイントロではアヴドゥルがオラオラをぴょこぴょこ避けている部分には違和感を感じるかもしれないが、なかなかの再現度はある。
しかし、原作を無視した本番はこれからであった。
家を出て少し歩くと不良生徒3人出現。とりあえず攻撃を選択。
ただの人間にスタンド攻撃をぶち込む承太郎。
不良生徒との戦いが展開された後、謎に人物に怪我を負わされ保健室に運ばれる。手当てを受けようとしたら原作通り女医が襲い掛かってきた。なぜか攻撃はぴょこぴょこした動きにかわされる。調べる攻撃で様子を伺ってひらめき攻撃で女医の口からスタンドを引きずり出す。そして花京院と対決。このゲームではこういった調べるコマンドが重要な鍵を握ってる場面が意外と多くちりばめられているので何も知らずにプレイした人はこの辺で挫折することは間違いないだろう。
花京院を仲間にした後、学校で生徒のしたが次々と抜かれる事件(この事件は原作では飛行機で起こっていた。)が発生。タワーオブグレーと3回戦って(3回中2回は単なる顔見せでこちらの攻撃がまったく聞かない。こういった敵も意外と多いので気をつけよう。)トイレ掃除のジジィが叫びながら散った。だが、原作無視の展開はまだまだある。
ホリィのスタンドが発現したと知った承太郎たちは噂になっている古本屋さんに突入。そして、プレイヤーはこのゲームの名物を目の当たりにする。それは・・・
原作では香港のレストランで出会うジャン・ピエール・ポルナレフが本屋の店員として登場ッ!
その後、館(原作では船)をあやるつオランウータン、飛行機の中でまったく違うスタンド使い2人との対決、呪いのデーボからハングドマンの顔見せまでイベントがぎっしり詰まったホテル、ただの一般人に成り果てたダービー兄弟とオインゴボインゴ兄弟、神殿を縄張りとするイギー、時を止める能力を持つ「時の学帽」など原作をほとんど無視したギミックがDIOとの戦いまで次々と展開される。なお、このゲームは原作では途中で死ぬはずのアヴドゥル、花京院、イギーが最後まで生き残っている。
さて、ストーリー展開は滅茶苦茶だったが、ゲームシステムはどうだろうか?
ごく普通のRPGたるものプレイ時間の多くは戦闘に費やされる。戦闘はもちろんランダムエンカウンターと思いきや、決まった場所で決まった敵が出現する上に一度出現したら二度と出現しないというレベルアップというものを全然考慮してない強制エンカウンターというものである。もちろん、そんなエンカウンターでもちゃんとレベルアップは存在する。なお、エジプトでは必要に応じて経験地稼ぎをすることが出来るバーがある。バーテンダーに話しかけて酒を飲むと幻覚によって吸血鬼が登場する。もちろん、吸血鬼を全滅させるとちゃんと経験値とお金が入る。イメージトレーニングも大事だといわれるが、こんなイメージトレーニングはマジで勘弁してほしい。
このゲームのユニークなシステムとして「バイオリズムシステム」というのがある。これは現在、バイオリズムという波のどの位置にあるかによってダメージ、経験値などが変化するというもの。波は歩くことで変化する。その上、ラッキーアイテム(ラッキーアイテムはキャラによって装備しなければならないものが違っている)を装備すると変化スピードがアップする。しかし、このバイオリズムシステムは普通にプレイしただけでは全く理解しにくいものだった。
システムも滅茶苦茶なら音楽はどうか。意外と良質である。特に最初の街のBGM、ラスボス戦のBGMは最高の出来である。youtubeなどでアップされているプレイ動画でぜひ耳にしてほしい。
効果音も負けず劣らずすごい。その中で特筆すべきところは棒読みのオラオラと無駄無駄である。「オラオラオラオラァーーーーー!」や「無駄無駄無駄無駄無駄ぁーーーーっ!」ではなく・・・
オラ オラ オラ オラ
ムダ ムダ ムダ ムダ
とまあ、こんな感じ。これもyoutubeなどでアップされているプレイ動画でぜひ耳にしてほしい。
原作を無視した展開に原作により近づけるあまりザコ敵の出現まで固定。たしかにこれでは低い評価が出るのは仕方が無い。でも、良質のBGMと棒読みの「オラオラ」&「ムダムダ」を聞くためなら一度やってみる価値はあるだろう。RPGの面白さを改めて考えたい人、RPGに関しては絶対の自信を持っている人、ヌルゲーで育った人には絶対にお勧めしたいゲームだ。でも、ジョジョファンにはあまりおすすめできないかも。
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